作家志望の方からよくいただく質問に回答します。
こんにちは、加賀美です。
タイトルの通りです。前置き無しで早速回答していきますね。
- Q.作家デビューに才能は必要ですか?
- Q.仕事をしながら書くのはありですか?(デビュー後、前も)
- Q.小説の専門学校についてどう思いますか?
- Q.執筆速度が遅いです。どうすればいいですか?
- Q.コンテストに参加するのと、投稿サイトのランキングから拾い上げで書籍化するのならどちらを目指すべきでしょうか?
- Q.コンテストにプロ作家が応募するのってずるいですよね?
- 最後に
Q.作家デビューに才能は必要ですか?
A.必要ありません!
もちろん、あった方が有利なのは間違いありません。ただ、特別な才能が無くてもデビューは可能です。
小説に求められるスキルは主に次の二つになります。
・文章力
・物語の構成力
書き続ける能力やらメンタル面の資質もありますが、作品のみに限って言えばこの二つですね。ちなみにメンタル面も工夫で何とでもなるので大丈夫!
程度の差はあれ日本人なら誰でも文章は書けますし、その気になればいくらでも勉強できます。参考になる本だって書店さんにいくらでもあります。
物語の構成も、「人間が面白いと感じる物語の特徴」を分析すれば特別な才能がなくとも再現が可能です。いわゆる王道やテンプレと呼ばれる展開を想像すればわかりやすいでしょうか。
才能がある人間というのは、この文章と構成のどちらか、あるいは両方を最初から無意識的に高レベルで行えるだけです。分析と反復練習の手間を才能の分だけ省いている、という感じ。裏を返せば才能がなくとも分析と努力を惜しまなければ問題ないということです。
自分の才能に自信がない作家志望の方、ご安心ください。小説は努力でどうとでもなります。これは断言できます。なんなら心理学や脳科学的な文献も参照してがっつり説明できます。
※ただし、効果のある努力をしなければ永遠に成果は出ないのでがむしゃらな努力だけはやめましょう(小説に限らずどの分野もそうです)。
Q.仕事をしながら書くのはありですか?(デビュー後、前も)
A.ありどころか超推奨します!
作家の収入は不安定です。作品が出せなければ食べていけませんし、売れ行きが怪しければやはり食べていけません。ある程度売れていても豊かな生活ができるわけではありません。夢を壊すようなことを言いますが、夢の印税生活ってなかなか実現しないんですよ……ホホホ。
なので安定した収入源を確保しつつ小説を書く方がデビューしている・していないにかかわらず精神的に余裕が生まれます。というかデビュー前から仕事しないって、それ僕と同じニートになっちゃいますよ!!
可能なら働きましょう!
まぁ僕は働きませんけどね……(一応たまにライターやってる)。
あ、一応作家になると他の文筆業にも就きやすくはなるので収入源は増やしやすいかもです。今はランサーズとか色々ありますからね。なので仕事に関してはあまり重く考えなくてもいいと思います。
Q.小説の専門学校についてどう思いますか?
A.通う必要はあまりないように思います。
これはあくまで僕の個人的な意見なので、専門学校に通うのが悪だと言っている訳ではありません。また、全く無意味であるとも思っていません。通えばデビューできるが、独学では惜しくも届かない……くらいの、ボーダーラインに位置する人には収穫があるのではないでしょうか。
とはいえ、先に書いたように個人的にはあまりおすすめしません。
あくまで持論ですよ(めっちゃ予防線を張る)。
というのも、一般的な専門学校のメリットは、専門的な知識を得られる以上に、資格を取得できる点にあると思います。介護系の専門学校では介護福祉士、大学では社会福祉士の資格を取得できますし、保育士や看護士もやはり学校で資格を取得できます。
職種によっては大学・専門学校に通わなければ取得できない資格もありますよね。
ここまで書けばお気づきかと思いますが、作家にはこれといった専門の資格はありません。専門学校で得られるのは知識くらいです。それだけでもメリットではあるのですが、知識なら何も学校に通わずとも身に着けられます。実際、プロ作家さんで小説の専門学校に通っていた人とそうでない人では後者の方が圧倒的に多いですからね。
わざわざ学校に通わずとも知識を得られるのなら、その時間と授業料を別の学校に使った方が効率的では、と僕は考えています。さっき書いたように、作家は働きながら続けるのが最も安定するので、国家資格が取れる大学や専門学校に通った方がいいのではないでしょうか。今は小説のノウハウをまとめたサイトや書籍もたくさんありますからね。独学でも全然いけちゃいます。
Q.執筆速度が遅いです。どうすればいいですか?
A.原因によって対処法が変わってきます。
筆が止まる原因は主に二つ。
・文章が気に入らない
・次の展開が思いつかない
おまけとして
・精神面や体調面の関係で集中できない
もありますが、大体は最初に挙げた二つが原因です。
僕も最初の頃は悩んでいました。文末が「~だった。~した。~した。」のように、「た」が連続して気持ち悪くなったり、同じような表現を何度も書いてしまったり。
プロットから脱線したせいで「これ、どうしよう……」ってなることもしばしば。
当時は一時間で1500字書ければいいくらいのペースでした。
もうちょっと早くしたいなぁと思ってあれこれ試行錯誤した結果、今では調子が悪くなければ一時間に3000~4000字くらい書けるようになりました。
とういうことで早速対処法を。
まず「文章が気に入らない」について。
これは簡単です。振り返るな、突き進め、です。
どんなに気に入らない文章を書いていても絶対に振り返らず、修正せずに書き進めるんです。修正は後からいくらでもできます。
ゼロから文章を生み出すのと、既にある文章を修正するのでは勝手が違います。執筆しながら修正するのは非常に効率が悪いです。
たとえば、三人分のチャーハンを作る時みなさんならどうします?おそらく全ての具材をまとめて下処理して、まとめて作って、最後に盛り分けますよね。
まず一人前の具材を処理して、調理して、お皿に盛って、次に二人目の食材も処理して……とはならないでしょう。
執筆しながら修正するのはこれと同じことをやっているのだと考えてください。先にまとめて書いてしまって、修正は後からまとめてやればいいんです。
それと、「一晩寝かせる」と言うように、書いたその日はいい文章だと思っていても翌日見たら「なんだこのゴミは!?」なんてこともよくあります。書きながら修正したところで、結局翌日見たらアウトだったりします。それくらいならその日は納得できなくてもとりあえず書いてしまって、後日修正した方が結果的にクオリティも高くなりますよね。
「次の展開が思いつかない」について。
手間はかかりますがこれも簡単です。プロットをできるだけ細かく書いてください。
キャラの行動、それによる感情の変化、どういった描写をするか……その他諸々。冒頭から完結まで細かく書けば書くほど執筆中に手が止まる回数は減ります。
これもさっきの話と通じますね。包丁を持って食材を切って、既に火もかけているのに「さて、なんの料理作ろうかなw」とはならんでしょう。包丁を持つ前に決めろ、ってことです。執筆前に細かくプロットなり設定なりを固めましょう。
この二つを意識するだけで執筆速度が倍になります。冗談抜きで倍になります。
書く時は書く、修正するときは修正する、考えるときは考える。できるだけ統一しましょう。それぞれの作業は使う脳の機能が違うので執筆中に複数やればやるほど作業効率が悪くなってしまいます。
Q.コンテストに参加するのと、投稿サイトのランキングから拾い上げで書籍化するのならどちらを目指すべきでしょうか?
A.コンテストをおすすめします。
まず大手投稿サイトでランキングに乗るのは超難しいです。僕が作品載せても多分6ポイントくらいしかもらえません笑
何より、ランキングからの拾い上げは運の要素が大きすぎます。
タイトルやあらすじをサイト用に最適化すれば確率は底上げできますが、それでも、どこまでいっても運の範疇です。確実にランキングに乗れるのはサイト内で多くのファンを抱えている人くらいのもので、そこまで行く頃には大体書籍化も叶っていますし、そこまでいくのもやはり運や根気が求められます。そもそも、ランキングに乗ったからといって確実に書籍化できるわけではありませんからね。
デビューを目指すのであれば出版社が開催しているコンテストに応募するのが一番手っ取り早いです。面白い作品、かつレーベルカラーに合った作品なら受賞できますからね。運もランキングからの拾い上げほどではありません。選考者の好みに左右されるかも、くらいですね。
Q.コンテストにプロ作家が応募するのってずるいですよね?
A.ずるくないです。
たびたびTwitterでも話題に上がっているプロ作家のコンテスト参加問題ですが、ここでは3つの視点からお話ししますね。ちょっと厳しいことも書くのであらかじめご容赦ください。ある意味、この記事の中で一番大事な話かもしれません。人は同じ能力を持っていたとしても、意識の持ち方だけで全く違う結果を生み出すので。
まず1点。これを言ってしまえば身も蓋もない…というより本当はこれだけでこの話は終わるのですが、応募規約にプロアマ不問と書いてある時点で誰にも文句を言う権利はありません。アマチュアのみ参加可の賞にプロが参戦するのはまずいですが、そうでない場合は何も問題ありません。
コンテストに参加している時点で、応募者は規約に同意したこととなります。つまり「プロ作家も応募すること」にも同意していることになります。
2点目は、プロの世界は遊びでも趣味でもなく、完全なる実力主義ということ。
あくまで商業なので出版社は実力を重視して選考を進めます。「不出来だけど頑張った作品」よりも「とにかく面白い作品」や「将来性がある作家」を選びます。
今から書く内容は少し厳しいかもしれませんが、これを読んでいるあなたが本当に作家になりたいと思っているのならどうかご理解ください。
まず、当然ながらプロが戦っている市場にはプロ作家しかいません。右を見ても左を見てもプロです。映画化作家、ドラマ化作家、アニメ化作家がゴロゴロいるような世界です。魔境ですよね。
プロになるというのはそこで戦うということなんです。
プロになれるのは彼らと互角に戦える人間、あるいは彼らを倒す可能性を見出された人間だけなんです。
言い方が悪いですが、というより、あえて悪い言い方をしますが、プロ作家がコンテストに参戦したくらいで落ちてしまうのであれば、そもそもプロの世界で戦えない=どのみち選考では選ばれないということです。
プロがいるから落ちるのではなく実力不足だから落ちるのです。
プロ作家の応募がずるいと思ってしまうのは、要はアマチュアとだけ戦いたいということですよね。規約に同意した上で応募しているにもかかわらず、アマチュアとだけ戦って、それで勝ち残ってプロになりたいというのは……これも言い方が悪いですが舐めすぎです。チュッパチャプスが二秒で溶けるくらい舐めてます。
本気の本気でプロになろうとしている人間は辛酸を舐めてますからね。この意識の差はかなり大きな差なのではないでしょうか。
ずるいって言いたくなる気持ちもわかりますけどね……。僕がデビューした時の賞でもプロ作家さんが何人もいたので痛いほどわかります。
ただ、そこで「ずるい!」と声を荒げるだけでは成長しませんし、声を荒げたところで現実は変わりません。自分の力不足を受け入れ、飲み込んで、「互角に戦ってやるぞ」「超えてやるぞ」と研鑽できる人だけが壁を越えて受賞に至るのです。
偉そうに書いていますが、僕だってまだまだ実力不足です。なんで商業作家やれてるんだろうって自分で思うレベルですからね。僕より後にデビューした人が僕より圧倒的に売れるなんて当たり前にあります。
そんな業界で生き残るにはやっぱり努力しかないんですよ……。書籍の売れ行きには運も絡みますから、楽な方に言い訳しようと思えばいくらだってできるんです。「あいつは運で売れたんだろ!」とか「あーあ、俺には運がないな」って。
それこそ「ずるい」なんていくらでも言えちゃいます。
ただ、それを言ってしまって、腐って努力を手放したら僕はもう一生成長できないだろうと自分に言い聞かせています。運がないなぁとかはたまに言っちゃうけどね…(新刊の発売日が緊急事態宣言と被った時はさすがに病んだ)。
厳しい書き方をしてすみません。
でもオブラートに包んで当たり障りなく書いても、きっと読んでる方のこの問題への意識は変わらないと思うんです。自分の弱さや欠点を受け入れるのはとても勇気の要ることです。誰かのせいにした方がよっぽど楽なんです。僕がこの記事で「わかる!ずるいよね!」と書いてしまえばきっと誰かが楽になってしまうでしょう。それはその方の可能性の芽を摘むことになると判断したので、あえてこのような書き方をしました。
もしこの記事を読んでいて「うっ」と胸に刺さったり、あるいは腹が立った人は今が変わるチャンスです。
最後、3点目です。
これは「プロ作家の応募がずるくない理由」というよりは「応募させてあげようぜ」って話なのでぶっちゃけ論題が違います。すみません。でも皆さんがデビューした後に大事になるので書いておきます。
まず、プロ作家になったからといって様々な出版社から自由に本を出せるわけではありません。色んなレーベルから出してる作家さんはSNS経由で出版社から声をかけてもらったり、あるいは自分から「出させてください!」と積極的に働きかけます。
作家の仕事は小説を書くことであって、SNSの運営や営業活動ではありません。それらも上手くやるのが理想ではあるのですが、中にはそもそもSNSをやっていない作家さんもいらっしゃいます。僕のように対人だと「あっ……」とか「えっと……」「うんちぶりー!」しか喋れず営業どころではない人間もいますし。いや、いるのか?
まぁそれはいいとして、小説家としての活動と他社への営業は全くの別物なんです。
営業活動が苦手、SNSをやっていない、そういった作家さんが他の出版社から本を出す手段が件のコンテスト参加です。
先述した理由から、ここではプロの応募はずるくないという前提で話を進めますね。
プロ作家のコンテスト参加を禁止、あるいは良くないよねーといった風潮を作ってしまうと将来皆さんがデビューした時に困ることになってしまうんです。もし所属している出版社が倒産してしまったら路頭に迷ってしまう羽目になりますしね。倒産とまではいかずとも、赤字で刊行数を減らさざるを得ず、結果として本が出しにくくなるなんてケースもあります。そうなってから慌てて不慣れな営業活動をするのでは遅いんです。
刊行には半年程度かかりますから、最低でも半年は作家としての活動ができない期間が生まれてしまいます。
これらの理由から、プロ作家もコンテスト応募できた方がいいよねーと僕は考えています。さっきも書きましたが論題ずれてますよね、すみません。でも大事な話だと思うのでお許しを……。
最後に
不定期かつ気まぐれではありますが、今後ちょくちょく小説に関する記事を書く予定なので恒常的に質問を募集します!リプでもDMでも構いません。回答はあくまで僕個人の意見にはなりますが質問がたまり次第回答しますね。